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不妊治療が健康保険の適用になる!バイアグラも保険適用に!高額療養費の対象にも!

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病院で20年以上の事務経験をもつ筆者が2022年4月から不妊治療が健康保険の適用になるということを受けて注意点や適用基準ついての解説をします。

診療報酬に関わる事務のことを”医事”と言いますが、この”医事”に関わる責任者は2年に一回のこの時期になると、改定される診療報酬の方向性が気になってきます。

今回の2022年度の診療報酬改定の大きな目玉の一つとなる「不妊治療について中央社会保険医療協議会の資料を交えながら見通しを見ていきます。

結論としては、2022年4月より不妊治療は健康保険の適用となります。

妊治療が健康保険の適用になります。
今回の診療報酬改定の大きな目玉です。

健康保険の適用になるということは、これまでよりも不妊治療が受けやすくなり、なおかつ費用的な負担が少なくなるということです。

不妊治療はこれまで、医療費控除の適用になっていましたが、これからは高額療養費の適用にもなります

不妊治療の保険適用については、かなり前から社会的な議論もされていたので、「今ごろか・・」という気がしますが、より多くの人が不妊治療を受けやすくなるということは間違いありません。

医療従事者ならではの情報ですので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

中央社会保険医療協議会(略称:中医協)

本題に入る前に中央社会医療審議会について解説します。

略して中医協といいます。

この中医協では日本の健康保険制度について、専門家(学者)・支払側(保険者)・医療側(医師・看護師など)の代表が今後の医療制度について議論を交わし、審議の結果を厚生労働相に諮問する機関です。

新しい治療法に健康保険を適用させるかや、今後の保険制度のあり方など議論している場です。

今回のテーマの「不妊治療の保険適用」についてもこの中医協から諮問されないと保険適用にはなりません。

中医協は日本の保険医療を決める重要な諮問機関です。

不妊症の定義

まず前提となるのは不妊症の定義です。

医療というのは一定の指針が示されることが多くあり、その指針は関連学会が決めています。

この場合は公益社団法人・日本産科婦人科学会の指針が参考にされています。

不妊症の定義は次の通りです。

不妊症の定義
生殖年齢の男女が妊娠を希望し、ある期間、避妊すること無く性交渉をおこなっているのにもかかわらず、妊娠の成立を見ない場合を不妊といい、妊娠を希望し医学的治療を必要とする場合
明らかな不妊原因が存在する場合は不妊の期間にかかわらず不妊症としても差し支えない

妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態をいいます。

ここでいう「一定期間」というのは、「1年というのが一般的」とされています。

なので、健康保険適用の不妊治療もこの定義が適用条件になるものと見込まれます。

明らかな不妊原因が存在する場合は、1年に限定されていませんが、原因が特定されていない場合は1年というのが条件になってきます。

健康保険にはルールがあるので、希望する人が全員が治療を受けられるわけではないので注意してください。

健康保険の適用範囲

健康保険が適用されるためには、まず前述した「不妊症の定義」に当てはまる「不妊症と診断された男女」ということになります。

男女の関係が夫婦であることが条件ではないので、事実婚内縁関係、またはそれ以外の関係である場合も適用されると見込まれます。

婚姻に縛られない現在の男女の様々関係に対応しているということです。

次は年齢制限です。

年齢については、女性の治療開始時点において43歳未満の方が対象となります。

また治療回数は、女性の治療開始時点において40歳未満の方は、1子につき6回までとし、治療開始時点において40歳以上43歳未満の方は、1子につき3回までとすることで議論が進んでいます。

回数の把握については患者からの申告・誓約に基づき対応するとされています。

\ 主な健康保険適応基準 /
40歳未満は1子につき6回まで
40歳以上43歳未満は1子につき3回まで
回数の把握は患者自身の申告に基づく

残念ですが女性が43歳になってしまうと保険適用ではなくなってしまいます。
高齢出産のリスクを考慮しているのでしょうね。

また不妊治療に関わるすべての治療方法が保険適用になるわけではありません。

安全性が確立されているものや、倫理的の問題ない治療に適用を認める方向です。

具体的には「一般社団法人日本生殖医学会」が定める生殖医療ガイドラインにおいて推奨度A又はBとされる医療技術(男性不妊治療を含む)については、原則として保険適用とする方向です。

また、推奨度Cとされる医療技術については、原則として保険適用外となりますが、順次、進医療として実施することについて、審議を進めるとしています。

推奨度AまたはBの医療技術は、「採卵・採精」・「体外受精・顕微授精」・「胚培養」・「胚凍結保存」・「胚移植」などとなっているので一連での治療が認められているということになります。

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第505回)2021年5月15日 ○個別事項(その10)

施設基準

保険診療には「施設基準」という考え方があります。

施設基準というのは、ある治療を施す上で、その病院がその治療を施す基準を満たしているかの判断を行う基準です。

その治療を施す門医がいるかその治療を行うだけの設備があるか治療指針が守れるか など、治療によって様々な条件が定められています。

不妊治療にも施設基準を設ける旨の議論があるので、いくつかの施設基準が設けられると見込まれますが、まだその具体的な基準は提示されていません。

なので、すべての産科病院で不妊治療ができるとは限らないのでご注意ください。

またこれまで保険適用外の不妊治療を施していた医療機関でも施設基準を満たすことができなければ、その医療機関で健康保険適用での不妊治療は受けられないことになります。

産科を標榜しているからと言って不妊治療ができるわけではありません。
ホームページでの確認や問い合わせてから受診するようにしましょう。

第三者からの卵子・精子の提供

今回の診療報酬改定では第三者からの卵子および精子の提供の場合の適用は見送られる見込みです。

理由は、第三者からの提供により出生した子の親子関係に関する取り扱いが、まだ議論されている最中だと判断されたため、今回は保険適用外という方向で進んでいます。

出典:中央社会保険医療協議会 総会(第505回)2021年5月15日 ○個別事項(その10)

特定支援事業と保険適用の関係

これまでの不妊治療は一定の条件のもと、特定支援事業(上限30万円)として治療費の支援制度がありました。

2022年4月からは健康保険の適用となるため、特定支援事業の取り扱いも議論されています。

2022年3月以前に特定支援事業を受けていた人は年度をまたぎ4月移行も支援が受けられるようになります。

ただし、4月以降は健康保険の適用となるため、新たに4月以降に新規で特定支援事業として受けられるかどうかは明記されていませんが、おそらく健康保険への移行となり、特定支援事業がなくなるのではないでしょうか。

着床前診断・PGT

着床前診断(PGT: preimplantation genetic testing) とは、体外受精で得られた胚を移植する前に、受精卵の段階で染色体や遺伝子の検査を行う検査のことです。

このPGTについても議論されていますが、関係学会の議論の状況等を踏まえて別途検討するとなっているので、今改定での保険適応は難しいような印象です。

着床前診断(PGT)への適用は倫理的な問題が焦点になっています。

バイアグラの保険適用・勃起不全による男性不妊

不妊治療が保険適用されることになり、これまで自費診療でしか使うことができなかった「バイアグラ」が保険適用になります。

保険適用されるためには単に勃起不全では適用されません。

適用は「勃起不全による男性不妊」が基準となります。

例えば、加齢やストレスによる勃起不全では保険は効きません。

 \ バイアグラの健康保険適用基準 /
勃起不全(満足な性行為を行うに十分な勃起とその維持が出来ない患者)
※保険適用の対象として想定されるのは、勃起不全による男性不妊のみ

ちなみに「シリアス」という勃起不全の薬も同様の基準で保険適用となります。

まとめ

この時期に中医協で出てきた議論はおおよそ方向性が定まったものが出てきます。

今回の不妊治療も健康保険が適用されることが決まりました。

2022年4月から適用開始です。

不妊治療の保険適用は遅すぎる気がして仕方ありませんが、今まで妊娠・出産を諦めていたカップルに子供が授かる可能性が高くなりました。

一組でも多くのカップルに幸せな出産が訪れることを願っています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。 

参考:中央社会保険医療協議会 総会(第505回)2021年5月15日 ○個別事項(その10)

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000866793.pdf

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