言うまでもなく日本は少子化です。
少子化の中、日本の大学進学率はそれと反比例するように上がり続けています。
文部科学省の学校基本調査では、2020年度の大学進学率が54.4%に達し、過去最高を記録したそうです。
私が大学を目指した頃、約30年前(1990年代初頭)の四年制大学進学率は約20%でした。飛躍的な上昇です。
30年前は団塊ジュニア世代が大学受験期を迎え、受験生が今よりも多くいた時期でもあります。
過去と比較すれば大学に行きやすい時代になってきましたが、費用面で見れば行きくくなってきたという見方もあります。
私自身、親の立場として国公立大学に魅力を感じていたので国公立大学の魅力について考えてみました。
ぜひ、最後までお付き合いください。
大学の環境
大学の進学率が高くなっている原因は少子化だけではありません。
大学数が増えているため、行きやすくなったのです。
約30年前との比較では大学の定員数は1.5~1.6倍くらいに増えています。
大学に行きやすくなったせいで、大学進学希望者を入学定員総数が上回る”大学全入時代”が、あと数年後にやってくると言われています。
少子化が進んでいく中、だんだん大学を卒業することの価値が減ってきているのではないでしょうか。
一方で国立大学の生徒数は平成8年の約10万4000人をピークに微減しています。国公立大学の定員は増えていません。増えたの私立大学ということです。
少子化で受験生が減少しているので国公立大学も多少入りやすくなったとは言えますが、私立大学に比べるとやはり簡単には行けない状況です。
学生数の割合でいうと国公立大学20%・私立大学80%です。
魅力① 学費が安い
大学の学費は生涯の教育費の中で一番多くかかってきます。
そのせいもあり、現在奨学金を利用している学生は50%を超えているそうです。
国公立大学は学費が安いことが知られていますが、私立大学との比較を行ってみましょう。
私立大学の場合、大学や学部によって差が生じてきますので、次に示すのは おおまかに4年間の学費を比較した金額になります。
国公立大学 | 文理 | 250万円 |
私立大学 | 文系 | 360万円 |
私立大学 | 理系 | 470万円 |
国公立大学の場合、文系と理系が同じ金額になっているのも魅力の一つです。
私立大学に比べる国公立大学は4年間で110~220万円くらい学費が少なくて済みます。
とはいえ、四年間で250万円の教育費は必要になります。
私立大学に比べて安いとは言え、実は国公立大学の学費は上がってきています。
親世代の時の授業料を比較してみます。(入学金などは除く)
1年間の授業料 | 4年間の授業料 | |
2021年 | \535,800- | \2,143,200- |
1991年(30年前) | \375,600- | \1,502,400- |
差 | \160,200- | \640,800- |
1年間では約16万円、4年間では約64万円の差が生じてきます。
30年間での上昇率は14%を超えています。親の実質賃金が上昇しない中、教育費が伸びていくという現状は、子供を持つ家庭には苦しい状況になってきています。
国公立大学でも学費の負担は増えています。
奨学金を受ける世帯が増えてきている要因の一つでもあるんでしょうね。
これではなかなか少子化はなかなか止まらないですよね。

魅力② 教授の数が多い
学費の安い国公立大学ですが、教員1人当たりの学生数が私立大学よりも少なくなっています。
教員1人当たり学生数が少ないということは、手厚い指導を受けられるという意味とも考えられます。
少し古い資料ですが、次のグラフは文部科学省に出ている資料です。
設置者別 本務教員1人当たり学生数の推移

平成18年現在、私立大学の場合は教員一人あたり22.84人受け持っていますが、国立大学は10.89人となっており、受け持ち数は半分以下となっています。
国公立大学は国からの補助金が多いので手厚い教育を施せるんでしょうね。
魅力③ 就活受けが良い
国公立大学に合格するためには、基本的には共通テスト(昔はセンター試験)を受験しないといけません。
私立大学のように少ない科目で受験したり、筆記試験なしで入学することは、ほとんどの場合できません。
多くの科目を学習し総合的な学力を身につけている学生は企業にとって魅力的な学生と言えるようです。
しかし、これについては絶対的なものとは言えません。企業が特定の大学の卒業生を好む場合も結構あるようなので・・。
魅力④ 地方には能力の高い学生が埋もれている
この魅力については、あまり目立たない魅力ですが、興味深い傾向だと思っています。
家庭が裕福でない子供は、学費の安い国公立大学を目指すことが多くなります。
自宅から通える自分の偏差値にあった私立大学より、自宅から通える学費の安い国公立大学を選ぶ傾向が強くなります。
まして、ここに下宿するお金が加わると親の経済力なしには成立しません。
大学は色々な人と出会える貴重な場所です。社会に出たら、同じような環境や同じような偏差値の人と出会うことが多くなるように思います。
国公立大学、特に地方の国公立大学には自分より、偏差値の高い人と接する機会が増えて、考え方やその先に進路について影響をもらえるのは良いことがあるかもしれません。

学生の声
国公立大学の通っていた、または在学生の声を聞いてみました。
関西にある教育学部を有する国立大学という限定の声ですが・・・
- 単純に学費が安いから
- 親元を離れたかった。離れる場合、学費免除のある私立大学か、学費の安い国公立大学という選択になった。
- 親に国公立大学しかダメと言われた。下宿もダメ。自宅から通える国公立大学の一択。
- 国公立大学の方が良さそうに見えた。私立大学の場合、3教科をひたすら勉強するのが過酷に思えた。金銭的負担が増えるのに私立大学を志望する理由がなかった。
親の経済事情以外にも志望動機はあるようですが、やはり子供には親の経済事情が表れています。

まとめ
国公立大学は私立大学に比べて安いことは知られていますが、だんだんと国公立大学の学費は上昇しています。
親世代の時と比べてると学費は上昇していますが、まだまだ私立大学よりは安くなっています。
具体的に学びたい学問がない高校生も多いと思いますが、もし仮に国公立大学を目指せる学力があるなら、国公立大学を目標にしてみるもいいのではないでしょうか。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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