こんにちは。医療機関で20年以上の事務職経験をもつ ”ててて” です。
あなたは新型コロナウイルスの流行が世間で騒がれ出した事件(?)を覚えていますか?
2020年1月のクルーズ船 ダイヤモンド・プリンセス号の事件です。
当時は、未知の感染症として扱われ、連日ニュースで大きく取り上げられました。
そして、数カ月後 新型コロナウイルス感染症は全国各地の医療機関に大きな経営的な打撃を与えました。
経営的な打撃が始まったのは2020年3月下旬からです。
その打撃が始まって数ヶ月後、私は自分の務める病院が1~2年くらいで倒産するかもしれないと思っていました。
おそらく他の病院もそんなところが多かったのではないでしょうか。
医療機関にとってはそれくらい大きな打撃でした。
経営的な打撃を受けるとありとあらゆるところに、経費削減が求められ、一方で感染症を広げずに患者の治療を継続できるかが喫緊の課題となっていました。
その経費削減のアイテムが、足踏み式アルコールポンプです。
今では医療機関だけでなく、ショッピングモールやスーパーマーケットなどにも当たり前のように設置されています。
実はあの足踏みアルコールポンプはピーク時で4万円以上の価格をつけていました。
あの当時、私の勤める病院でも1~2台程度しか足踏み式アルコールポンプは設置していませんでした。
今ではネットで1万円も出せば買える代物です。
当時は火事場泥棒も甚だしいと憤りを感じていました。
需給バランスが崩れれば価格がおかしくなる事柄の一つです。
そこで、4万円を払わないで自分の病院に足踏み式アルコールポンプを安価で配置する方法を考えていました。
高ければ作ればいいと考え、そして完成したのがこれです。私の試行錯誤の結晶です。
こちらは実際に使っているところの短い動画です。わずか8秒の動画ですがご覧ください。
この動画は完成モデルですが、ここまで来るのに数回のマイナーチェンジを繰り返し、ここまでやってきました。
そして、くすっと笑える幼稚さが多くの人の心を掴んだようです。
「よくできてるね」 「これ面白い!」 「ちょっと笑う」
という製作者がよろこぶコメントをたくさんちょうだいしました。
ぜひ、最後までご覧ください。
作り方・材料 めちゃくちゃ安い!
見た目の通り、作り方はとても簡単です。
木材をだいたいの大きさにカットして、木ネジで繋ぐ。その後、糸を通せば完成です。
材料は
- 1×4材 90cmくらい 1個(背板)
- 1×4材 9cmくらい 1個(天板)
- 2×4材 15cmくらい 2個(容器を置く台・足踏みペダル)
- 木ネジ 数本
- 蝶番 1個
- タコ糸 2mくらい
- タコ糸の触れ止め(穴付き結束バンド)
- ステンレスヒートン 1個
- 固定バンド
材料はたったこれだけ。材料費は1組あたり500~700円程度です。
激安です!
日本全国、どこのホームセンターでも売っている商品です。
上記に書いてある材料を適当な大きさにカットして、木ネジで結合していくだけです。
大きさ、長さは多少違っても問題ありません。極めて簡単です。
のこぎりでカットすることが苦手な方は、木材を購入する際にホームセンターでお願いすれば、1カットあたり 0円~数十円程度でカットしてくれるので依頼してみるのがいいでしょう。
自分でカットするよりも、ホームセンターの大きな機械でカットしたほうが綺麗にカットできるので、お願いしたほうが楽に綺麗に作成できますね。
各パーツを見てみよう!
手すりの隙間に背板を入れて垂直を保つ構造です。
背板と天板は蝶番でつながっています。
天板から足踏みペダルまではタコ糸で繋がっています。
天板の横に付いている2本のネジで微調整が可能です。
糸が長ければ、天板とネジにクルクルと何度か巻きつけて短くします。
天板を立てるとこんな感じです。
アルコール本体を載せている台です。
正確に長さを測って切っているわけではありません。
容器の長さより少し長くしています。青色のバンドは台から落ちないようにするためのものです。
横幅は2×4材の幅、そのままです。
足で踏むペダルです。
糸が通っている黒い部分は穴付きの結束バンドです。この穴があることで、ペダルが前後左右に揺れる幅を少なくしてくれます。
これでも多少は動いてしまいますが、機能に支障はありません。
ペダルに付いているヒートン(金具)に糸が通っていますが、決してヒートンに結びつけてはいけません。
結ばずに糸を通しているだけなので左右の糸のバランスが取りやすくなります。
ヒートンは硬い素材の方が良いです。このポンプで最も痛みやすいのがこのヒートンです。
なので、硬いステンレスのヒートンにしています。
かなり使い込んだものの写真を撮ってしまいましたが、全部で5~6個くらい作成しました。
制作のポイント
一番初めに課題になったところは「自立」させるかどうかです。
通常、販売している足踏み式アルコールポンプは自立しています。
自立させるとなると、結講な強度が必要にになり、構造が複雑になってきます。
自立させない方法を考えてこの形式にたどり着きました。
このタイプは自立することを諦め、手すりに頼ってポジションを保っています。
ここが一番のポイントかもしれません。
もう一つは足踏みベダルと天板をつなぐタコ糸です。
試行錯誤を繰り返し、タコ糸までたどり着きました。
強度を求めてテグスを使ってみたり、細いワイヤーを使ってみたりしたのですが、これらの材料は強度がありすぎて、ピンと張らせることが難しくいい具合になりませんでした。
その点、タコ糸は強度・耐久性はこれらの材料に比べて劣りますが、柔軟性があるためペダル部分と天板の部分を綺麗に、思い通りにつなぎ合わせることができました。
タコ糸は少し長めにカットします。
そして、余った部分は天板の横のネジに巻きつけておきます。
こうすることで糸が切れた時、この余った部分を伸ばして、切れた部分を結ぶと再び使えるようになります。
少し貧乏くさいですが、その場ですぐに修理が可能です。
アルコール噴霧の違いで効果が違う
今では人が出入りするほとんどの施設の入り口にアルコールなどの消毒液が置かれています。
いくつかのタイプに分かれるので少し、その解説をします。
机上や台において、手で押すタイプ
置くだけなので一番安価になります。
このタイプは一度、容器に触れないと噴霧しないので触れることを嫌がる人は消毒を避けてしまうことが考えられます。
あとの2つのタイプよりは全体としての使用量が減ってしまうので施設全体の感染対策としては劣ってしまいます。
しかし、容器に触れて噴霧することは問題ありません。
触れた後、手にアルコールをすり込むので他のもの個人の効果は変わりません。
電動式ポンプ
電動式の多くが電池式になっています。
自動なのに小型化できるのも利点の一つです。
容器に触れなくて良い分、前のタイプより使用回数が増えるので効果が上がります。
弱点としては電池切れの恐れが出てきます。
足踏み式ポンプ
前の2つのタイプの弱点は足踏み式ポンプにはありません。
しかし、足踏みという特性上、大きくなってしまい、置くところ選んでしまうことがあります。
電池切れの心配はありません。
手作り”足踏み式アルコールポンプ”のその後
今は、市場の足踏み式アルコールポンプが適正価格で購入できるようになりました。
なので、この足踏みアルコールポンプは、少し見た目が悪いので引退状態です。
これが活躍する日はもうこないとは思います。
まとめ
人はお金がないときほど、考えるので面白いアイデアが生まれます。
著作権はフリーですので、興味のある方は、真似てみてください。
もし真似てくれて、報告してくれたら、たぶんめちゃくちゃ嬉しいです。
あっそうそう、某大学病院の感染症の教授がこれを見て、笑っていたそうです。
足踏み式アルコールポンプの価格が暴騰している時にアップしたらバズったかもしれないと妄想しています。
その頃はブログを書こうなんて思いもしませんでしたが・・
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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